毎月新しいものを出し続けて、息が切れている方へ/出し続ける限り、事業の上限は担い手の生産量になる

会員制ビジネスが動き続ける三つの条件と、壊れる三つの経路

会員制ビジネスの始め方は、立ち上げの手順として説明されます。種類を選び、サービスを設計し、システムを用意し、コンテンツを作り、集客し、公開する。そこへ、継続課金の仕組みと、解約率の管理が加わります。

手順は実務として機能します。決済も配信も、いまは個人で用意できます。

一覧を最後まで読むと、並んでいる項目の中身が一つの要求に収束していることが分かります。毎月、何かを出し続けること。コンテンツの制作が手順の中心に来て、公開後の管理が解約率の管理になるのは、この要求の帰結です。種類の分類も、システムの選定も、その要求を満たすための手段として並んでいます。

要求は、会員から出ているものではありません。形式から出ています。課金の周期そのものが、対価を月単位で数える枠を会員の側に作るからです。したがって担い手は、出すものが無い月にも出すことになります。

この整理には、答えの入っていない問いが一つ残ります。会員が来月も居続ける理由を、どこに置くのか。多くの説明では、この問いはコンテンツの側で答えられます。毎月新しいものを出す。価値を提供し続ける。つまり、居続ける理由は担い手が供給し続けるものだ、という整理です。

この整理を採ると、会員はこちらに依存します。そして、依存されている状態は、事業としては安定して見えます。指標の側は、むしろ良くなります。安定して見えるので、そこが問題だと気づく機会がありません。気づく機会が来るのは、担い手の側が止まったときです。体調でも、関心の移動でも止まります。止まった時点で、場も止まります。そのとき初めて、事業の上限が担い手の生産量だったことが分かります。

答えの出ない問いも書いておきます。会費をいくらにするか、何人まで受けるか、どの周期で課金するか。この三つに数字は置きません。金額も周期も、扱う内容と、こちらが場に割ける時間から決まる約束の形そのものです。外から渡された数字を約束の形にすれば、募集の文面は、こちらが確かめていない前提を会員に対して名乗ることになります。

扱う範囲は七つです。案内されている手順の中身。継続課金という形式が要求してくるもの。供給元をどこに置くかという設計。場が動き続ける三つの条件。場が壊れる三つの経路。辞めることが不利にならない出口の設計。そして会費が参加の理由をどう変えるか。締めに、いま場を支えているものが個人なのか場なのかを、解約率を見ずに判定する方法を三つ置きます。

会員制ビジネスの一覧に並んでいる形

会員制ビジネスとは、登録した人だけが利用できるサービスを、継続的な課金で提供する形式のことだと説明されます。単発の販売と違い、収入が読める点が利点として挙げられます。

種類の分類が示されます。人が対応する型。情報を提供する型。道具を使わせる型。基盤を貸す型。

手順が並びます。事業計画を立てる。法的な準備をする。サービスを設計する。システムを構築する。コンテンツを制作する。集客の準備をする。試験運用を経て公開し、公開後に追いかける。

コンテンツの助言も添えられます。質と継続性の両方が要る。形式は動画でも音声でも文章でもよいが、自分が継続的に作れるものに絞る。

集客の助言も出ます。最初は知ってもらうことが優先。無料のもので信頼を作り、有料へつなぐ導線を用意する。

どの項目も、実務としては正確です。収入が読めるのは事実ですし、自分が作り続けられる形式に絞るという助言は、実際に失敗を減らします。試験運用を挟むのも正しい。

一式の底には、共通する前提が一つ置かれています。会員が居続ける理由は、提供され続けるものの側にある、という前提です。前提を採った時点で、手順の並びまで決まっています。

提供物に価値が要らない、という意味ではありません。何も無い場に人は留まりません。問われているのは、提供物だけが理由である場合に何が起きるかです。

提供物だけが理由なら、その提供物より良いものが他所にあれば、会員はそちらへ移ります。移らないようにするには、こちらが出し続けるしかありません。出し続ける限り、事業の上限は担い手の生産量になります。そして生産量は、こちらの都合と関係なく下がります。上限が担い手の状態に連動している状態を、安定と呼ぶことはできません。

継続的に価値を出すのは当然だ、という反応は正しい指摘です。区別しているのは、出すかどうかではなく、居続ける理由をそこだけに置くかどうかです。理由が一つしかない構造は、その一つが止まった瞬間に全部止まります。理由を二つ持つことと、出す量を増やすことは、別の作業です。

手順どおりに進めるほど、担い手の生産量が事業の心臓になります。心臓なので、止められません。止められない状態は、独立して自分の時間を取り戻すという当初の目的と、正面から食い違います。そして食い違いは、事業が順調に見えている期間ほど表に出ません。

継続課金という形式が、毎月何かを出すことを要求する

月ごとの課金は、月ごとの対価を要求してきます。

要求しているのは会員ではありません。形式です。毎月引き落とされるという事実が、毎月何かがあったはずだという判定を、会員の側に自動的に発生させます。

したがって、担い手は毎月何かを出すことになります。出すものが無い月にも出すので、内容の水準は下がります。下がった月が続くと、解約が起きます。

解約が起きると、対処は「もっと出す」になります。対処の方向が形式に決められているので、抜け道がありません。水準が下がった原因は出す量ではなく、出すべきものが尽きたことなのに、形式は量の側しか指しません。

月に一度の講義と、質問への回答を提供する場を作ったとします。半年で扱うべき主題は一通り終わります。七か月目からは、扱う必要のないことを扱うことになります。会費は同じなので、水準の低下だけが会員に伝わります。

扱う主題が尽きた時点でその事業は終わりではないか、という問いが出ます。提供物を軸にしていれば、そうなります。軸が別のところにあれば、話は変わります。会員が来月も居続ける理由が、こちらが出すものではなく、その場で自分に起きていることであれば、主題が尽きても場は終わりません。

もう一つ、形式は内容の粒度も決めます。月ごとに区切ると、月に収まる大きさの主題が選ばれます。半年かけて扱うべき主題は、月ごとの単位に分割されるか、選ばれなくなります。分割された主題は、途中から参加した人には筋が見えません。見えないまま月が進むので、差は開きます。したがって、参加時期によって受け取るものが変わり、その差を埋めるための説明が毎月発生します。

道具を貸す形や、基盤を提供する形では、提供物が軸であることのほうが自然です。この形式のすべてが場である必要はありません。ここで扱っているのは、人が集まることを含む形だけです。

そして、課金の周期は設計できます。月ごとにすると月ごとの対価が要求されますが、期間を区切った形にすれば、その期間で完結する約束になります。周期は、後から変えるのが難しいので、最初に決めることになります。既に払っている人がいる状態で周期を変えれば、条件の変更として説明する場面が発生するからです。

周期を長くすれば、収入の予測は同じでも、入金の間隔が空きます。空いた期間の資金を自分で持つことになります。したがって、周期の選択は約束の問題であると同時に、手元の資金の問題でもあります。

依存が起きるのは、供給元が担い手個人に留まっているあいだだけである

場が会員に与えているものは、二つの感覚です。

「やればできる」と「やっても大丈夫」。この二つを、最初は担い手が供給します。担い手が示し、担い手が反応し、担い手が保証します。

この状態が続いている限り、会員は担い手を見ています。担い手が居なくなれば、二つとも供給されなくなるからです。これが依存の実体で、会員の性格とは何の関係もありません。

ところが、場がある程度成立すると、供給元が移ります。「ここに所属しているから大丈夫」「ここに居る人たちがやっているのだから自分にもできる」。二つの感覚が、担い手個人ではなく場そのものから供給されるようになります。

移ってしまえば、依存は構造的に薄まります。移す前と後で、担い手が変わったわけではありません。変わったのは、二つの感覚がどこから出ているかだけです。担い手が一週間不在でも、場は動きます。動いた事実そのものが、次の一週間の材料になります。薄めるために気をつけるのではなく、供給元を移すという具体的な設計で薄まります。

質問が全部こちらに向かってくる場は、供給元が個人に留まっています。会員どうしで答えが出る場は、移っています。移す作業は、こちらが答えるのを遅らせることではなく、会員の答えが見える場所に置かれることです。

担い手に聞きたいから会費を払っているのではないか。最初はそう読めます。ただし、こちらに聞かないと分からない状態が続くことは、会員にとっても不利です。その状態では、会員は自分の判断で動けません。動けない状態を維持することは、本来渡すはずだったものを渡していないことになります。

供給元を移せない領域も残ります。こちらの一次情報や、こちらの判断そのものを求めている場合です。移せるのは判断の材料までであって、判断そのものではありません。材料まで抱え込むと、移せない領域が実際より広く見えます。

そして、供給元の移動には、こちら側の利点もあります。個人に紐づいている場は、担い手の状態に対して脆い。担い手が一度止まれば、その瞬間に場も止まります。移しておくことは、場を続けるための設計でもあります。倫理の要請と事業の要請は、ここでは同じ方向を指します。

供給元が移ると、担い手の存在感のほうは下がります。下がった分、会費を払っている理由が見えにくくなる会員が出ます。この時期に、解約が一度起きます。移行の過程で起きるものなので、供給を戻すと、移行そのものが止まります。

場が動き続ける条件は、三つある

人がある活動を続けるかどうかについては、動機づけの研究に整理があります。

デシとライアンが提唱した「自己決定理論」は、人間の動機づけを外的なものから内的なものへの連続体として整理しました(Deci & Ryan, 1985, Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior, Springer)。自律性・有能感・関係性という三つの基本欲求の充足が内発的な動機を支えるという形にまとめたのは、その後の論文です(Deci & Ryan, 2000, “The ‘What’ and ‘Why’ of Goal Pursuits”, Psychological Inquiry, 11(4))。

帰属を正確に置いておきます。三つの欲求そのものは、この二人が作った概念ではありません。二人がしたのは、それぞれ別の系譜で扱われてきた三つを、人間に共通する基本的な欲求として一つの枠組みにまとめたことです。

三つを場の側に置き直すと、次のようになります。自律性は、外から強制されないこと。場の空気に合わせすぎなくてよいこと。有能感は、うまくいかなかったときにも、なお自分にはできると思っていられる状態。関係性は、関係があることではなく、互いに支え合っているという感覚です。

三つは、「やればできる」「やっても大丈夫」という二つの確信とは別の役割を持ちます。確信は、始められるかどうかを決めます。三条件は、続くかどうかを決めます。入口と持続で、働く場所が違います。

毎月の課題が全員に配られ、提出が求められる場を考えます。有能感は上がるかもしれません。自律性は下がります。下がった分だけ、その場は「やらされる場所」に近づきます。

強制がないと誰も動かないのではないか、という懸念は当たります。動かない期間は出ます。ただ、強制で動かした期間の後に残るものと、自分で動いた期間の後に残るものは違います。残るのは、動いた事実ではなく、自分の判断で動けたという記録のほうです。その記録が、次に動くときの材料になります。

有能感については、渡し方に条件があります。確実にできる課題を渡しても、有能感は上がりません。上がるのは、できるかどうか分からない課題を渡し、できなかったことを一切問題にしない場合です。問題にすると、次からは確実にできることしか選ばれなくなります。

三つを満たせば場が続く、とまでは言えません。三つはあくまで動機づけの側の条件で、時間や費用といった、動機と別の理由でも人は離れます。

自律性を優先すれば、場の活動量は読めなくなります。誰がいつ動くかを、こちらが決めないからです。読めない状態で会費を受け取ることは、こちら側に不安を作ります。その不安が、場に計測を持ち込む動きの入口になります。

場が壊れる経路は、三つある

場が機能しなくなる経路は、少なくとも三つに分かれます。

第一の経路は、担い手が場を自分のものにすることです。判断が全部こちらを通り、こちらの評価が場の評価になります。供給元が担い手個人に留まっている状態が、固定されたときの姿です。

第二の経路は、担い手が場を手段として運用することです。場が、何かを売るための場所になります。このとき最初に削られるのは、参加者の自律性です。手段にするとは、相手の目的を自分の目的に従属させることだからです。

自律性が落ちれば、自己決定理論が示すとおり動機づけが落ちます。動機づけが落ちれば、場そのものが止まります。したがってこれは、やってはいけないことではなく、やると止まることです。

第三の経路は、計測を持ち込むことです。これは、悪意なく起きます。悪意が無いことが、この経路を他の二つと分けます。

会員向けの案内を出す頻度を上げたとします。内容は有益で、押し付けてもいない。それでも、参加者の側では「ここは何かを勧められる場所だ」という判定が動きます。判定が動いた後は、こちらの発言が全部その枠で読まれます。

事業なのだから売ることは前提だ、という指摘は当たります。順序の話をしています。場が先にあり、そこから事業上の利点が出てくるのは自然です。逆に、事業上の利点のために場を作ると、参加者はその順序を読み取ります。読み取られると、二つ目の経路が始まります。

三つのうち、外から見て検出できるのは最初の二つだけです。私物化は、判断の集中として観察できます。道具化は、案内の頻度として観察できます。三つ目は、誰も何もしていないので、観察されません。

三つは、壊れ方の形も違います。一つ目は、担い手が中心に居座ったまま場が回らなくなる形です。二つ目は、場が別の目的に従属して、参加者が受け手に戻る形です。三つ目は、誰も何もしていないのに、順序だけで場の性質が変わる形です。形が違えば、気づく時期も違います。したがって、対処も別々になります。一つ目には供給元の移動、二つ目には順序の宣言、三つ目には判断の段取りが対応します。対処を取り違えると、別の経路のほうが進みます。

三つを知った後には、案内を出すこと自体をためらう時期が来ます。ためらった結果、参加者は何が提供されているかを知らないまま離れます。分界は頻度ではなく順序にあるので、順序が正しければ案内は出してよい。出さないことは、別の形の不親切です。

壊れる三つ目の経路だけは、悪意なく起きる

数値を先に置くと、場の性質が変わります。

機序は、判断が起きる順序にあります。何かを企画するとき、先に回収の見込みを問われると、作る側は「この枠でやれということだな」と理解します。理解した後は、その枠に収まる案しか出てきません。

枠と衝突した案が却下されるのではありません。衝突しうる案が、そもそも生成されなくなります。却下の記録が残らないので、何が失われたかは誰にも見えません。

この経路には、担い手の意図が要りません。数値を前段に置くという順序だけで、場は手段に変わります。したがって、最初の二つを戒めても、三つ目は防げません。防げるのは順序だけです。

会員数を毎月見る習慣を作ったとします。数字は正確で、見ること自体は正しく働きます。見た後に企画を考えると、登録が増えそうな企画から思い浮かびます。増えないが必要な企画は、思い浮かぶ前に消えます。

会員数を見ずに事業が成立するのか、という問いには、成立しないと答えられます。最終的には枠が要ります。言えるのは、案を出す段階では枠を置かない、という順序だけです。案が出そろってから、現実化の段で枠を当てる。この順序であれば、枠は判断の材料になり、生成の制約にはなりません。

順序を守れるのは、自分一人で決めている場合だけです。他の人と一緒に運営している場合、数値の話は共有された前提として最初に置かれます。この場合、案を出す時間だけを数値の話から物理的に切り離すことになります。

そして、この機序は場に限りません。設計の側でも同じことが起きるという話は、仕組み化の設計で扱った、判断を先に済ませることの裏面にあたります。

この経路が三つの中で最も見つけにくいのは、担い手の側に自覚が残らないからです。私物化も道具化も、後から振り返れば「そうしていた」と分かります。生成されなかった案は、記憶にも残りません。残らないので、後から数えることもできません。検出できるのは、案を出した直後に、その案の並びを見る場合だけです。並びが全部同じ方向を向いていたら、その方向を決めたものが前段にあります。並びは、案そのものより多くを語ります。

数値を後ろに置けば、判断は遅れます。案を出してから枠を当てるので、通らない案に時間を使うことになります。使った時間は無駄に見えます。見えるだけで、その時間が無ければ、枠の中の案しか手元に残りません。

出口の設計——辞めることが不利にならない形

会員制では、辞めるという行為に費用がかかる設計にすることができます。

費用の形は、いくつもあります。手続きが煩雑である。再入会ができない。蓄積したものが見られなくなる。辞めた事実が他の会員に見える。

どれも、解約率の数字を下げます。数字が下がるので、施策としては成功したように見えます。

ところが、下がっているのは解約の数であって、離れたい気持ちではありません。離れたいまま留まっている人は、参加しません。参加しないので、場の側からは既に居ないのと同じです。会費だけが残ります。

そして、留まっている人が居ることは、場の空気を変えます。動かない人が一定数居る場では、動くことが目立ちます。目立つことを避ける人が出て、活動量はさらに下がります。

年間契約にして途中解約を認めない形にしたとします。三か月で合わないと判断した人は、残り九か月を無参加で過ごします。その九か月のあいだ、こちらは会員数の数字を見て、場が安定していると判定します。

すぐ辞められると事業が安定しないのではないか。安定しません。代わりに、数字が実態と一致します。一致していれば、減ったときに理由を探せます。一致していない数字は、減らないので、探す機会そのものが来ません。

期間を区切ること自体は、問題ではありません。その期間で完結する内容を約束しているなら、期間の設定は約束の形です。問題になるのは、期間が引き止めのために設定されている場合だけです。

判別は、期間の長さを決めた理由で付きます。内容から決まったなら約束、解約率から決まったなら引き止めです。理由は、決めた本人には分かります。分かるので、この判別に外部の基準は要りません。

出口の設計には、辞めた後をどう扱うかも含まれます。在籍中に蓄積したものを、辞めた後も持ち出せるかどうかです。持ち出せない設計では、辞めることが過去を失うことになり、失うのが嫌で留まる人は、離れたいまま留まっている人になります。持ち出せる設計にすると、辞めた人が外でその内容を使い、使った先で場の名前が出るので、引き止めを外した側にも経路が残ります。

辞めやすくすれば実際に辞める人は増え、その中には、続けていれば成立していた関係も含まれます。摩擦を無くすことは、摩擦があったから続いていたものを終わらせることでもあり、どちらを取るかは、その場に何を集めたいかで決まります。

会費は、参加の理由を変える

同じ場でも、無料と有料では参加者の振る舞いが変わります。

有料であれば、参加者は自分の判断で選んだことになり、選んだ理由が本人の中に残るので、理由を持っている人は自分から動きます。

有料であることは、同時に期待も作ります。払った分に見合うものがあるはずだ、という期待です。期待はこちらへ向き、向いた分だけ、供給元は個人に留まりやすくなります。

二つの効果は逆を向いていて、選択の側は自律性を上げ、期待の側は依存を強めます。どちらが強く出るかは、会費が何に対する対価として説明されているかで決まります。

提供物に対する対価として説明すれば期待は提供物へ向かい、場に居ることに対する対価として説明すれば期待は場へ向かいます。そして説明そのものは、募集の文面で既に決まっています。

「毎月三本の講義が受けられます」と書いた場では、講義の本数が減れば不満が出ます。「同じことを試している人が集まっている場所です」と書いた場では、講義が無い月があっても、場は成立します。

後者の書き方では何を買うのか分からないのではないか。分かりにくくなります。分かりにくい分、入る人は減ります。減った代わりに、入った人は場を目当てに入っています。入口の説明は、集める数と、集まる人の性質を交換しています。

場を目当てにした説明が成立するのは、場が既に存在している場合だけです。まだ誰も居ない段階でこの説明をすると、実体の無いものを売ることになります。立ち上げの段階では、提供物を対価として置く以外にありません。

したがって、説明は途中で書き換えることになります。場が成立した時点で、募集の文面を変える。変えないと、何年経っても提供物に対する期待が入り続けます。

金額の水準も、参加の理由に効きます。高いほど選択の意識は強くなる一方で期待も比例して上がり、上がった期待はこちらへ向きます。低いほど期待は下がりますが、選んだ意識も下がります。したがって、金額は「払える額」ではなく「その人が自分で選んだと感じ、かつ供給元を個人に固定しない額」として決まります。実際には、決め切れないので、動かしながら見ることになります。

説明を書き換えれば既存の会員との約束も変わり、それを黙って進めると、提供物が減ったという受け取られ方になります。書き換えは、変えることを先に伝えたうえで行うことになります。

支えているのが個人か、場か

いま何が場を支えているかは、解約率を見ずに、三つの記録から分かります。解約率を見ずに済むのは、支えているものの位置が、日々のやりとりの側に現れるからです。

第一の確認は、直近の一か月に場で交わされたやりとりのうち、こちらが関与していないものが何割かを数えることです。

割合が低ければ、供給元はまだ個人に留まっています。割合そのものに正解はなく、時間を追って上がっているかどうかを見ます。上がらないなら、こちらが答えすぎているか、会員どうしが見える場所が無いかのどちらかです。

第二の確認は、次の企画を考えるときに、最初に思い浮かんだ案を書き留めておくことです。

書き留めた案が、いずれも会員数や収入に触れる形をしているなら、数値が前段に入っています。入っていること自体は悪いことではなく、順序が逆になっているという情報です。順序は、次の企画から変えられます。

第三の確認は、辞めた人が辞める前の一か月に参加していたかを見ることです。

参加しないまま辞めているなら、その人は辞める前から離れていました。離れてから辞めるまでの期間が長いほど、辞めることに費用がかかる設計になっています。期間は記録から測れます。

三つとも、会員数を見ていません。会員数は結果であって、依存の有無とは別の軸だからです。

三つが答えない問いも残ります。その会員制を続けるべきかどうかです。依存が無く、順序も正しく、辞めやすい場でも、事業として成立しないことはあります。この判定は、設計の側では出せません。

居続ける理由の置き場を、形式はコンテンツの側に決めてきます。毎月引き落とされるという事実が、毎月何かがあったはずだという判定を作るからです。形式に従うかぎり、置き場は一つしか出てきません。

そして置き場を一つにした構造は、担い手が止まった時点で全部止まります。解約率を見ない三つの確認は、置き場が動いたかどうかを測っています。動いていれば、こちらが一週間不在でも場は動き、動いた一週間そのものが、次の一週間の理由になります。理由がこちらの手を離れた場所に立ったとき、会費は初めて、こちらの生産量以外のものに対する対価になります。

供給元が移った先である場そのものが何を供給しているかは、場づくりが供給する二つの確信で扱っています。移す作業を他の人と分担する場合の順序はチーム作りの順序、移す側に何が要るのかはリーダーの資質は存在しないにあります。置き場が担い手から離れたかどうかは、依存の話と同じ場所を見ています。依存を決めているのが態度ではなく出どころの位置だという分析は依存が生まれる位置にあります。

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