開封率が下がった理由を、件名のせいにしている方へ/この数字が指しているのは、差出人が重要度の順序に入っているかである

開封率の正体——分母の取り方で変わり、差出人の順序を映す

2021年9月、手元の開封率が上がった配信者が大勢います。何もしていないのに上がりました。

アップルがiOS 15で導入した仕組みでは、メールが自社のサーバーを経由して事前に読み込まれます。開封は、本文に埋め込まれた見えない画像の読み込みで測られるので、この経路を通った分は、人が開いていなくても開封として記録されます。この仕組みを有効にしている利用者は、少なくありません。

つまり、手元の数字を変えたのは、こちらの操作ではありませんでした。受け取る側の環境が変わり、測定の意味が変わりました。

これが指標として重いのは、上がった分の内訳を、こちらの側から分けられないからです。名簿にその環境の利用者がどれだけいるかで上振れの幅が変わり、その比率は月ごとに動きます。変更をまたいだ数字は、同じものを測っていません。そして変更の後も、上振れの幅は名簿の入れ替わりとともに動き続けます。

そして、この数字にはもう一つの性質があります。上げる操作の中に、名簿を減らすだけのものが含まれています。分母を削れば、書いたものに一切手を触れないまま、翌月の値は上がります。

この数字が本来指しているものは、はっきりしています。差出人の名前が、受け取った人の重要度の順序に入っているかどうかです。件名でも配信時刻でもありません。差出人の名前が重要度の順序に入っているかどうかは、相手がこちらへ払っている関与の量そのものです。その量を段として読む見方は段に並んでいるものは何かが受け持ちます。

扱うのは指標の読み方だけです。書き方の側は扱いません。開封率が何を数えているか。分母の取り方で何が変わるか。そして、下がったことが良い知らせである場合の見分け方。この三点で決着します。

決着しないものが二つあります。何パーセントなら良いかは、ここでは出ません。比べられる相手がいない以上、その数字は作れないからです。もう一つ、名簿をいつ整理するかも扱いません。それは到達の技術的な条件と、事業として誰を対象にするかの二つで決まり、後者は指標の外にあります。

時間が失われる場所も置いておきます。崩れていることを知らないまま数字を追うと、改善に費やした時間が、実際には測定の変化を追いかけていたことになります。上がったのも下がったのも、こちらの操作とは無関係な要因で説明できてしまいます。

なお、何を書くかという文面の側はメルマガの書き方で扱っています。ここでは指標のほうを見ます。指標の読み方が定まらないうちは、文面を変えた効果も判定できません。

上げる方法として並ぶ五つは、どれも実際に効く

五つの助言は、どれも実務として正確です。そのうえで、同じ前提の上に立っています。

開封率とは、配信したメールのうち、開かれたものの割合を指します。分母を配信数、分子を開封数として計算されます。

上げる方法として案内されるのは、おおむね次のものです。

第一に、件名の工夫です。魅力的な語を入れる、限定感や特典を伝える、表示される文字数に収める、相手の名前を入れる。

第二に、差出人の表示です。誰から届いたかが分かるように設定する。

第三に、配信の時刻と曜日です。相手が画面を見ている時間帯に合わせる。

第四に、事前に表示される短い文の活用です。件名の後に表示される部分に、続きを促す一文を置く。

第五に、対象を絞ることです。関心の近い相手にだけ送れば、開かれる割合が上がります。

加えて、業界ごとの平均値が示され、自分の数字がその上か下かで判断する形が案内されます。

これらは正確です。件名は実際に開封を左右しますし、時刻は届いた瞬間の視認性を変えます。対象を絞れば、割合は上がります。

五つを並べると、前提が一箇所に揃っています。いずれも、開封率が「開かれた回数の割合」を正しく測っていることを前提にしています。

この前提は、以前はおおむね成立していました。測定の仕組みが単純で、受け取る側の環境も揃っていたからです。

崩れたのは、その前提のほうです。崩れ方は一様ではなく、名簿の構成によって程度が変わります。したがって、崩れの大きさを他人の数字から推定することもできません。

五つには、順序も示されていません。手間の少ないほうが、先に触られがちです。件名は毎回書くので毎回触れますが、対象を絞る作業には設計が要ります。手間の少ない順は、効きの大きい順とは一致しません。

対象を絞れば割合が上がるのだから、それも操作として同じだ。同じ形をしています。

違いは、絞った結果として届かなくなった人が、どこへ行くかです。名簿から外すのではなく、送る内容を分ける形なら、その人は残ります。外す形では、残りません。数字の上では、どちらも同じ上昇として現れます。

そして、外す形のほうが手数は少なくなります。内容を分けるには、分けた数だけ内容を作る必要があるからです。手数の少ない側が選ばれ続けると、名簿は縮み続けます。縮んだことは割合の数字には出ないので、選び続けた記録だけが残ります。記録の上では、毎回うまくいっています。

開封率が実際に数えているもの

数えているのは「読み込みが発生した回数」であって「人が読んだ回数」ではありません。

メールの本文には、見えない小さな画像が一つ埋め込まれます。その画像が読み込まれた時点で、開封として記録されます。

この差は、長いあいだ小さなものでした。画像は、人が開いたときにだけ読み込まれていたからです。

2021年9月に、この前提が変わりました。事前の読み込みを経た分は、開いていなくても開封として加算されます。

影響の大きさは、名簿の構成で変わります。その環境の利用者が多い名簿では大きく、少ない名簿では小さくなります。実際にどれだけ上振れするかは、報告によって幅があります。

ここから、三つの帰結が出ます。

第一に、開封率の絶対値は、他と比べられません。名簿の構成が違えば、同じ実態でも違う数字になります。

第二に、過去の自分の数字とも、単純には比べられません。仕組みが変わった前後で、測っているものが変わっています。

第三に、上振れの分は、件名の改善とは無関係に発生します。件名を良くしても悪くしても、その分は同じように乗ります。

では、この数字は使えないのか。使えます。

使えるのは、条件をそろえて測った自分の推移だけです。名簿の構成が大きく変わらない範囲で、月をまたいで比べる。この使い方なら、上振れは定数として両方に乗るので、差の向きは読めます。

名簿の構成は、時間とともに変わります。新しく入ってくる人の環境は、以前の人と同じとは限りません。したがって、比較できる期間には上限があります。

事前の読み込みによる崩れは、数字を押し上げます。事前に読み込まれた分は開封として加算されるだけで、本当に開いた分が差し引かれることはないからです。ただし、画像の読み込みを止めている環境では、開いても記録されないという別の漏れが以前からあります。

事前の読み込みによる分に限れば、手元の数字を実態より低くはしません。

この非対称は、判断の向きを変えます。数字が良いときは、良さの一部が測定によるものかを疑う必要があります。数字が悪いときは、事前の読み込みの分を疑う必要はありません。

事前の読み込みについて疑う向きが片側だけであることは、実務では扱いやすい性質になります。上がった月は内訳を確かめ、下がった月は事前の読み込み以外の理由を探す。この使い分けで、確認の手数が減ります。

業界平均と比べることが、なぜ意味を持たないか

案内では、業界ごとの平均が示されます。自分の数字がその上か下かで、良し悪しを判断する形です。

この比較には、少なくとも四つの前提が要ります。

第一に、測定の方法が同じであること。名簿の構成によって、測れるものそのものが違います。

第二に、分母の取り方が同じであること。配信した数を分母に取るか、実際に届いた数を分母に取るかで、値が変わります。届かなかった分を含めるかどうかは、集計する側の設定です。

第三に、名簿の作り方が同じであること。自分から申し込んだ人だけの名簿と、取引の過程で自動的に登録された人を含む名簿では、開かれる割合が大きく違ってきます。

第四に、送る頻度が同じであること。毎日送る場合と月に一度の場合では、一通あたりの開封率は同じ意味を持ちません。

四つのうち一つでも違えば、比較は成立しません。そして、公開されている平均値には、この四つの条件が書かれていないことが多くあります。

つまり、平均との比較で分かるのは、自分の数字が公開されている数字の上か下かということだけです。それが何を意味するかは、この比較からは出てきません。

目安が無いと、良いのか悪いのか判断できないのではないか。判断の基準は、外にはありません。

自分の名簿について問うべきは「この人たちのうち、何割が実際にこれを必要としているか」であり、その答えは他人の平均には含まれていません。

平均との比較は、目標の置き方も変えます。平均を上回ることが目標になると、上回る方法が探されます。その方法の中には、名簿を減らす操作が含まれています。

平均値そのものが誤っているわけではありません。集計した側は、集計した範囲について正しい数字を出しています。

誤るのは、その範囲が自分の名簿と同じだと仮定するところです。仮定は明示されないので、比べる側は仮定していることに気づきません。

では、他人の数字は一切参考にならないのか。参考になる使い方が一つあります。

桁を確かめることです。自分の数字が二パーセントで、公開されている値がどれも二十パーセント台なら、桁が違います。桁の差は、条件の違いでは説明しにくい大きさです。この場合は、名簿の作り方そのものを見る番になります。

桁が合っていれば、そこから先は比べられません。十五パーセントと二十パーセントの差は、条件の違いで丸ごと説明できる幅です。この幅の中で自分の位置を確かめても、次に何をするかは決まりません。

分母をどう取るかで、同じ配信が別の数字になる

技術的に見えて、実務でよく効く論点です。

分母を「送信した数」に取ると、届かなかった分も母数に入ります。存在しなくなったあて先、受け取りを拒否された分、迷惑扱いされた分。

分母を「届いた数」に取ると、これらが除かれます。同じ配信でも、後者のほうが高い数字になります。

配信の道具によって、既定の設定は違います。そして、どちらで計算されているかは、画面に表示されないことがあります。

帰結が一つ出ます。道具を乗り換えた月に、数字が動くことがあります。動いたのは配信の中身ではなく、計算の仕方です。

さらに、名簿が古くなるほど、二つの差は開きます。届かないあて先が増えるからです。送信数を分母に取っていると、名簿の古さが開封率の低下として現れます。

つまり、開封率の低下には、内容の問題と、名簿の劣化と、計算方法の変更という、性質の違う三つが畳まれています。

三つを分けるには、届かなかった数を別に見ておくしかありません。この数は、同じ画面に表示されていることもありますが、開封率ほど注目されません。

どちらの分母が正しい、という話ではありません。目的によって変わります。

どちらで測っているかを知らないまま推移を追うと、途中で計算が変わっても気づけません。気づかなければ、変化の原因は内容の側に帰せられます。

確かめ方は単純です。同じ配信について、送信した数と届いた数の両方を画面から拾い、開封数をそれぞれで割ってみる。表示されている開封率がどちらと一致するかで、設定が分かります。

差はわずかなのだから、そこまで気にする必要があるのか。始めたばかりの名簿では、差はわずかです。

時間が経つほど広がります。使われなくなったあて先、変更されたあて先、受け取りを止めた分が積み上がるからです。

この差の大きさ自体が、名簿の古さを示す指標になっています。二つの分母で計算した値が離れてきたら、内容の前に名簿の状態を見る番です。

そして、届かなかった分は、開封率よりも先に確認すべき数字です。届いていないものは、件名をどう工夫しても開かれません。順序として、こちらが上流にあります。これは成約率が悪いとき、どこから疑うかで扱った診断の順序と同じ形です。

上流の数字が下流の数字より注目されないのは、動きが小さいからです。届かなかった割合は、月ごとに大きくは変わりません。変わらない数字は、見に行く理由が毎月立ちません。

開封率を上げる最も簡単な方法は、分母を減らすことである

この指標には、他の割合の指標と同じ穴があります。分母を減らせば上がります。

手順としては、こうなります。しばらく開いていない相手を名簿から外せば、翌月の開封率は上がります。書いたものには手を触れていません。

この操作は、配信の実務では推奨されることがあります。届かないあて先や反応の無いあて先を残しておくと、配信そのものの到達が悪くなるという技術的な理由があるからです。

理由は妥当です。そのうえで、この操作の結果が「開封率の改善」として記録されると、何が起きたかが分からなくなります。

分からなくなる理由は、二つの操作が同じ数字を動かすからです。内容が良くなって開かれる人が増えた場合と、開かない人を外して分母が減った場合が、同じ上昇として現れます。

区別する方法は、実数を見ることです。開封の実数が増えていれば、前者が起きています。実数が横ばいか減っているのに割合だけが上がっているなら、後者です。

そして、後者は繰り返せません。外せる相手には限りがあるからです。二度、三度と続けると、名簿は最も反応の良い層だけになり、数字は高い位置で止まります。止まった時点で、届いている人数は最初の何分の一かになっています。

反応しない相手に送り続ける意味は無い。意味が無い場合はあります。

反応しないことと、関係が無いことは別です。開かないまま名前を覚えていて、必要が発生したときに検索して戻ってくる人はいます。

この人は、開封率の上では価値がゼロで、事業の上ではゼロではありません。指標に合わせて名簿を整えると、この層が最初に消えます。

整理そのものを止めよという話ではありません。到達の問題は実在します。

整理を行った月の数字は、内容の評価には使えません。使うなら、整理の前後で分けて記録しておく必要があります。

整理を繰り返すと、こちらの側の認識も変わります。残っているのは反応の良い層だけなので、送るたびに手応えがあります。手応えがあるので、いま書いているものが広く届いていると感じます。

実際には、届く範囲が狭まった結果です。狭まったことは、割合の数字には現れません。現れるのは実数のほうですが、実数は目標として置かれていないことがあります。

残った層に向けて書くこと自体は、間違いではありません。対象が明確なほど内容は具体になります。

厄介なのは、残った層が「対象を選んだ結果」ではなく「反応で削られた結果」であることです。反応で削ると、内容を必要としているが反応の形で示さない人が、対象から外れます。

単一の指標を目標に置くと、その指標に固有の壊れ方が出る

測定の上振れ、分母の取り方、名簿の整理の三つは、どれも同じ場所に効いています。開封率を単独の目標として置いたときにだけ、これらが問題になります。

指標を目標に置いたときの壊れ方は、経営学の側で早くから分類されています。V・F・リッジウェイは1956年、業績の測定が組織にもたらす機能不全を整理し、単一の指標を置いた場合、複数の指標を並べた場合、複数を合成して一つにした場合の三つで、壊れ方が違うと述べました(Ridgway, 1956, Administrative Science Quarterly, 1(2), 240–247)。

単一の指標を置いた場合に起きるのは、測っていない側面の犠牲です。測られている一つの数字が良くなるように行動が組み直され、測られていない部分はその代償になります。開封率だけを置くと、届く人数と、開いた後に何が残るかが、代償の側に回ります。

複数を並べた場合に起きるのは、指標どうしの衝突です。開封率と実数を同時に置けば、片方を上げる操作がもう片方を下げることがあります。どちらを優先するかが決まっていないと、判断はその場で揺れます。

合成して一つにした場合に起きるのは、重みづけの隠蔽です。複数の数字を掛け合わせて一つの点数にすると、どの要素がどれだけ効いているかが見えなくなります。見えないので、点数を上げる操作は最も動かしやすい要素へ集まります。

この整理は、事業の規模を問いません。一人で配信していても、測っているのが一つなら、単一の指標の壊れ方が出ます。

リッジウェイが観察したのは、大きな組織における管理の仕組みです。一人の事業では、指標と行動のあいだに他人がいないぶん、衝突は表面化しにくくなります。その代わり、代償の側は誰にも指摘されません。

したがって、開封率を扱う場面で採れる形は、二つに絞られます。単独で置くのをやめて、実数と対で見る。あるいは、開封率を目標から外し、背景の数字として置く。どちらも、単一の指標の壊れ方を避けるための操作です。

二つのうち後者のほうが、実行しやすくなります。対で置くと、二つが衝突した月に判断が要るからです。判断が要る形は、判断を避けたい時期に片方だけを見る形へ戻ります。目標から外しておけば、戻る先がありません。

開封と読了は、別の出来事である

開封率が上がったとき、読まれる量が増えたとは限りません。

開封は、開いたという記録です。開いて三秒で閉じた場合も、最後まで読んだ場合も、同じ一件です。

そして、件名の強度を上げると、開封は増え、読了は減ることがあります。強い件名に引かれて開き、内容が想定と違って離れる。

このとき、開封率は改善として記録されます。改善として記録されたものが、次の配信の開封率を下げる入力になります。

つまり、開封率だけを追うと、逆方向へ進んでいることに気づけない期間が発生します。気づくのは、数か月後に開封率が下がり始めたときです。

このずれを検出するには、開封の次を見るしかありません。本文中の同じ位置に置いたリンクが、どれだけ押されたか。開封に対する比で見れば、開いた人のうち最後まで進んだ割合の目安になります。

リンクを押さない読み方もあります。読了の指標として不正確ではないか。不正確です。

読んだが押さなかった人と、読まずに閉じた人は区別できません。そのうえで、開封率よりは、内容に近い場所を測っています。

近い場所を測ることの価値は、絶対値の正確さではなく、動く理由の少なさにあります。開封は件名でも時刻でも測定の仕組みでも動きますが、本文の中ほどまで進んだかどうかは、主に内容で動きます。

押される割合が高ければ内容が良い、とも限りません。押させる書き方は存在しますし、押した先で失望すれば、次の回に響きます。

二つの数字の比が、件名と内容の関係を映します。片方だけでは映りません。

二つを同時に追うと、判断が複雑になります。実務では、片方を主に、もう片方を確認用に置くのが現実的です。

主に置くべきは、内容に近いほうです。開封は、名前の位置を確認するための背景の数字として置く。この順序にすると、件名の改善に費やす時間が、膨らみにくくなります。

内容に近い指標を主に置くと、数字が動きにくくなります。開封は日々動きますが、内容の届き方は数か月単位でしか変わりません。

動かない数字を見続けることには、抵抗があります。何かをしている感触が得られないからです。開封率の細かい上下を追っているほうが、作業をしている実感は強くなります。

この感触の差が、実務では優先順位を作ります。動く数字が主になり、動かない数字は月末の確認に降格します。降格した数字は、やがて見られなくなります。降格したことを記録する欄は、どこにもありません。

開封率が下がることが、良い知らせである場合

三つの場合があります。

第一に、件名を正確にしたときです。内容を正確に述べる件名は、関係のない回を飛ばす判断を可能にします。飛ばす判断が正しくできるほど、開封率は下がります。

このとき、開いた人の割合は下がり、開いた人の中で内容を必要としていた人の割合は上がります。指標は悪化し、実態は改善しています。

第二に、名簿が増えているときです。新しく入ってきた人は、まだ差出人の名前を順序の中に持っていません。入ってくる人数が多い時期ほど、全体の開封率は下がります。

この場合、名簿の古い層と新しい層を分けて見れば、下がっていないことが分かります。分けずに全体で見ていると、増えていることが悪化として現れます。

第三に、送る頻度を上げたときです。一通あたりの開封率は下がりますが、届く総量は増えます。どちらを見るかで、評価が逆になります。

三つに共通するのは、開封率が単独では方向を教えないということです。下がったことが良いのか悪いのかは、同時に何が起きていたかを知らなければ判定できません。

この性質は、報告の場面で問題を起こします。数字を並べる場では、下がったことは説明を要求されます。説明が面倒なので、下がる操作は避けられます。

避けられる操作の中に、件名を正確にすることと、名簿を増やすことが含まれています。どちらも事業として正しい操作です。

下がったことを常に良い知らせとして読むのは、逆の誤りです。内容が薄くなって下がっている場合も、実際にあります。

判定に必要なのは、同じ期間に何をしたかの記録です。件名の形式を変えたか、名簿が増えたか、頻度を変えたか。この記録が無ければ、数字は解釈できません。

この記録は、一行で足ります。配信の日付の横に、その回に変えたことを書くだけです。変えていない回は空欄になります。

空欄が続いている期間は、比較に使える期間です。何かを変えた回を挟むと、その前後は直接比べられません。

この記録を付け始めると、同時に複数のことを変えている月が見つかることがあります。件名の形式も変え、頻度も変え、名簿も整理する。三つ同時に動かした月の数字からは、何も読めません。

読めない月が続くことは、それ自体が判定です。改善を続けているのに何が効いたか分からない状態は、変える速さが測る速さを上回っていることを示しています。上回っている限り、改善の総量は増えても、分かることは増えません。

割合を三つに割って、どれが動いたかを見る

割合そのものは、方向を教えません。動いたのが分子か分母かは、割合の外側にしか書かれていません。

第一の指標は、開封の実数の推移です。割合ではなく件数を並べる。割合が上がっているのに件数が横ばいなら、動いたのは分母です。件数が増えているなら、届いている人が増えています。この二つは、割合だけを見ていると混ざったままになります。

第二の指標は、名簿を登録した時期ごとに分けた開封率です。三か月前に入った層、一年前に入った層、それ以前の層。古い層ほど下がっているなら、名前の位置が落ちています。どの層も同じなら、全体の変動は名簿の構成が作っています。

第三の指標は、本文の中ほどに置いた同じ位置のリンクが、開封に対してどれだけ押されているかです。開封が増えてこの比が下がっているなら、件名が内容より強くなっています。比が保たれたまま開封が増えているなら、名前の位置が上がっています。

三つとも、業界平均を見ていません。開封が名前の位置の現れである以上、確認すべきは自分の名簿の内側だからです。

使える条件は限られます。三つとも、複数回の配信と、ある程度の件数が要ります。件数が少ないうちは、割合が大きく振れます。十人に送って三人が開けば三割、四人なら四割です。動いたのは一人です。

この段階で見るべきは、割合ではなく、誰が開いたかです。一人ひとりが分かる規模では、集計より個別の記録のほうが情報を持っています。

第二の指標は、登録の時期を記録していないと使えない。この心配は、杞憂に終わることがあります。

登録の日付は、自動的に残っていることが多くあります。申し込みの日時を記録する配信の道具が多いからです。足りないのは、その日付で分けて集計する操作のほうです。

操作が面倒なので行われないだけで、材料は既に手元にあります。一度分けてみれば、全体の数字が何の平均だったかが分かります。

この記事は、水準の数字を持ちません。持てない理由は単純で、名簿の作り方と、扱っている内容と、届き始めてからの期間が違えば、同じ数字が別の状態を指すからです。整理の時期も、頻度も、同じ理由で決まりません。そして当たらない数を渡すと、渡された側はその数へ向けて名簿を整えます。整えた結果は、この記事が扱ってきた三つの壊れ方のうちの一つです。

手元の数字が変わったのは、こちらが何かをしたからではありませんでした。外で起きたことが、測定の意味を変えました。同じことは、道具を乗り換えた月にも、名簿を整理した月にも起きています。動いた数字を見て、動かした操作を探すと、何かしら見つかります。見つかったものが原因とは限りません。

だとすれば、増やすべきは指標ではなく記録のほうです。配信の日付の横に、その回に変えたことを一行書く。件名の形式、頻度、名簿の増減、道具の設定。変えていない回は空欄で構いません。空欄が二回続いたところが、初めて比較に使える区間になります。そこまでは、どの数字も解釈の対象になりません。

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